まったく他人事(ひとごと)なので、詳しくは差し控えますが、鳥に関する知識のないおじいさんが、飼い鳥の性格が気に入らないという理由で、庭に放鳥したという話を目にしました。
よりによって冬の台風の迫るこの時期に、突如、放り出されてしまったセキセイインコ。
考えると、たまらない気持ちになります。
りるばぁどは、物心つく前からセキセイインコが好きです。
まだ赤ちゃんの頃、母が飼っていた手乗りのセキセイインコがかわいくて、触れたくて、ぶんぶんと手を振り回して、結果的にインコを怖がらせ怒らせてしまって、耳を出血するほど噛まれた……こともあるそうです。
小学生の頃にも飼ったことがありましたかね。
その後は、完全にオトナになってから、1羽ずつセキセイインコを飼ってきました。
……幸運なことに、我が家のインコは逃げてしまったことはありませんでしたが……もし万が一、不注意で逃がしてしまったら……そりゃあもう、心配で心配でたまらないでしょう。
同じく、セキセイインコ飼いの家庭に育った夫は、何度か逃してしまったことがあるそうですが、運良く、戻って来たとか。
夫が名前を呼びながら歩き回ると、慌てて飛んで来て、肩に止まったそうです。
そういう経験があるからか、夫は、特によく懐いている子には
「この子はもう、どこに飛んで行ってしまっても、大丈夫。近くに来た誰かに飛びついてって、可愛がってもらえる。」
という太鼓判を押します。
確かに、どこかで誰かに可愛がってもらってるなら……いいですけど……それって、確かめようがありませんしねえ。
庭でセキセイや文鳥を放し飼いにしていた友人は、よく、うちの子以外の文鳥やセキセイが混じってた……と、言ってました。
群れる習性があるから、うまく、他の鳥たちに混じることができれば、安心ですね。
東京の野生のセキセイインコの大群とまではいかなくても、例えば、御所の雀たちにセキセイが混じってることもありますし。
そんなとりとめのない願いを抱きながら、前述の街のムクドリの群の声を聞きました。
おじいさんがセキセイインコを逃がした街には、今までかつて足を踏み入れたことがなかったのですが……ご縁ですかねえ……そんな話を聞いたその日のうちに、その街に行って参りました。
冷たい雨。
明るい駅前の街路樹ですら、鳴き声は大きいのに、姿は見えず……。
その中に、噂のセキセイインコが混じっていてくれたら……。
そう願わずにいはいられませんでした。
とにかく、生きていてほしいです。